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会社のミッションを大切にしながら構築した強固な勤怠管理フロー(株式会社CaSy 様)

  • 勤怠管理サービス変更
  • IT・インターネット
  • IPO
2022-07-14

株式会社CaSy

従業員数:約40名

事業概要:「家事代行」を中心とした暮らしのプラットフォームサービス「CaSy」を提供。現在は家事代行以外にも専門的なハウスクリーニングなど暮らしのサービスを提供している。そのほか、法人向けのサービスや、家事育児情報WEBメディアも展開。

2022年2月にIPOを果たした株式会社CaSy様。IPOを目指す中で厳格な勤怠管理を構築するためにラクローを導入いただきました。同社のミッションや働き方、人事制度からラクロー導入前の課題、IPOに向けて準備されたことなどを代表取締役CFOの池田様と管理部門ご担当の小口様にお話を聞きました。

ー高山:御社の事業や役割を教えてください。

池田様:当社は「家事代行」を中心とした暮らしのプラットフォームサービスを提供している会社です。「家事代行」はお客様のご自宅に訪問してお掃除やお料理を行うサービスです。ご依頼として多いのはキッチンやお風呂などの水回りのお掃除ですが、一週間分の料理を作って欲しいといった作り置き料理のご依頼も人気です。

「家事代行」以外にもエアコンの分解洗浄や、キッチンのレンジフード清掃などの専門的なハウスクリーニングサービスや、お客様のライフスタイルに合わせた整理収納サービスも提供しています。暮らしのプラットフォームサービスとして「家事代行」を中心としながら、それ以外の暮らしのサービスも提供しています。


ー高山:御社が大切にされていることを教えてください。

池田様:CaSyはミッションとして「大切なことを、大切にできる時間を創る。」を掲げており、家事代行を通してお客様の笑顔が生まれる時間を創りたいという想いがあります。そして、その輪が広がり、笑顔の暮らしがあたりまえになる社会を作りたいと考えています。


ー高山:御社の特徴を教えてください。

池田様:我々の家事代行は従来の家事代行と大きく違う点が2つあります。

一つはDX化です。家事代行サービス自体は1980年代からの歴史がありますが、従来のサービスはお客様のご自宅で実際にサービスを行う従業員と顧客を結び付ける「コーディネーター」という人がいました。CaSyではこの「コーディネーター」をすべてシステムに置き換えており、その結果として、お客様への提供料金は安く、一方で働き手であるスタッフ(当社では「キャスト」と呼んでいます)の報酬は高くできています。

もう一つがシェアリングエコノミーです。CaSyではお客様のご自宅で実際に家事を行うキャストは「業務委託」として会社と契約をしています。CaSyではキャストとして働いてもらっている方にも「大切なことを、大切にできる時間を創る。」を実現してほしいと考えているため、隙間時間や働きたい時に働くことができるようにしています。


ー高山:ありがとうございます、池田さんの自己紹介と現在されている役割を教えてください。

池田様:私は創業メンバーの一人で、現在はCFOとして、経理、財務、総務、経営企画、法務、組織人事に携わっています。最近はIRが増えてきていますね。

創業当時はCTOでプロダクト開発をしていました。2019年頃から上場準備のために、今の役割となりました。


ー高山:小口さんも自己紹介をよろしくお願いします。

小口様:私は池田の元で経理、労務、法務周りを中心に担当しています。


ー高山:お二人とも以前から管理部門のご経験があったのでしょうか。

池田様:私は2019年まではCTOとしてCaSyのプロダクトを開発するエンジニア組織を率いていました、そのため2019年に役割が変わってから徐々にという感じですね。

前職在職時にグロービス経営大学院で社会人向けのMBAスクールに通って、経営全般を学んでいたのと、業務としても前職で事業企画やM&A後のPMI業務などをしていたので、全くゼロからという訳ではないです。

小口様:私は2020年5月に入社してから初めて、経理、労務、法務を担当しました。未経験で入社したので、入社後は池田と四苦八苦して、今ようやく軌道に乗り始めたなという実感を持っているところです。

池田様:仕訳もやったことがないところからお願いしましたが、今は月次だけでなく四半期もほぼ一人で締めてもらってます。私も含めて伸び代を伸ばしまくってここまできた感じです。


会社のミッションにリンクする柔軟な働き方

ー高山:社員の皆さんの働き方について教えてください。

池田様:社員の働き方を決めた根幹には、会社がもつミッションが大きく関わっています。

最初にお話したように、「大切なことを、大切にできる時間を創る。」をミッションとする私たちなのだから、そこで働く社員も、「大切なことを、大切にしながら働いてほしい、生きてほしい」と考えています。

「働く時間・場所は自分で決める」という考えのもと、フレックスタイム制度を採用して、朝の5時から夜10時までの間で、社員の好きな時間に働けるようにしています。

また、人によってそれぞれ置かれている状況が違うため、自分が働きたい場所や時間があると考えており、コロナ禍になる前からリモートワークを導入していて、働く場所を自分で選んでもらうようにしています。

実際に沖縄県にエンジニア、愛知県にデザイナーなどそれぞれの働きやすい環境で働いてもらっています。


ー山崎:御社の採用サイトにも記載がありますが、多くの人事制度が充実していますね。

池田様:これも根幹にある考えは会社のミッション「大切なことを、大切にできる時間を創る。」で、時間ではなく成果に対して報いたいと考えています。例えば、弊社の「スーパーフレックス8.0」という制度は、目標達成していてかつ月営業日の半分を稼働すれば、残りの営業日は仕事をしなくても欠勤控除をしないことにしています。成果を出しているのであれば、より短く働く方がかっこよく、同じ成果量を効率的にやるようにしようとしています。そのため月の所定労働時間にいかなくても成果を出していれば言及はしません。

この制度は2018年12月に作ったもので、今も試行錯誤や改善しないといけないところは出て来ているけれど根幹にある考えは変わっていませんね。


ー山崎:あと従業員の方が新しい制度を会社に提案できるというのも面白いですね。実際にはどのような提案が来ますか?

池田様:新しい福利厚生として、CaSyサービスを友人に贈るための割引など、従業員の生活に合わせて充実させています。

従業員から提案があれば経営会議で審議しており、何か他の社員の利害に反しない限りは基本的に制度として組み込むスタンスにしています。

インタビューの様子
インタビューの様子 画面左下:小口様 画面右下:池田様

課題解決に向けて、決めては使いやすいUI

ー高山:ラクロー導入前などの課題感を教えてください。

池田様:ラクロー導入前は、従業員の勤務実態が把握しにくい状況でした。

リモートワーク下で、あくまでも自己申告のみで勤怠管理を行っていましたので、会社として実態が把握しづらく、従業員の健康を鑑みた際に勤怠管理のレベル感に課題を感じていました。

ちょうど具体的にIPOを目指すタイミングもあって、労働者保護の観点と年々上場審査の中でも勤怠管理が厳格になってきていることから、もっと厳格な勤怠管理をしなければならないなと感じていました。

同時に証券会社からも、もう少し厳格に管理するようにと指導がありましたね。


ー高山:ラクローを知ったきっかけは何でしょうか?

池田様:勤怠管理に関する証券会社からの指導の中で、客観的記録との照合を実現できるサービスを探していたのがきっかけです。Webで検索をした後、様々なサービスを実際に試して決めました。


ー高山:最終的にラクローに決めたポイントはどこでしょうか。

池田様:今はコロナ禍もありリモートワークが一般化していますが、ラクローを導入した当初はリモートワークを前提として、客観的記録と照合を自動的に出来るサービスは多くありませんでした。自動照合機能はあっても、Macに対応していなかったりなど弊社の働き方を考えると、ラクロー一択でした。特に初めに使った際にUIに好感を持ちました。

労働時間が可視化されることで、従業員のマインドも変化

ー山崎:導入後の従業員のみなさまの反応はどうでしたか?

池田様:PCを立ち上げたらログが送信されるため、働きづらくなる感覚を受けていた様ですね。

小口様:確かに導入当初、特に子育てをしている同僚から、子育てに合わせた働き方がしづらくなるのではという不安の声を聞きました。しかし、ログで自分の働き方が可視化されることにより、私を含め従業員のマインドが「仕事を労働時間内に納めよう」と変わりました。マインドが変わると同時に、システムにもすぐに慣れていきましたね。


ー山崎:そのマインドの変化は小口さんの中で良いと思える変化でしたか?

小口様:よかったですね!労働時間が客観的に見える事で、どの業務にどのくらいの時間がかかっていたのかなどが見える化されたことにより、すごく働きやすくなりました。


ー山崎:ちなみに、ラクロー導入前から行なっていた施策はありますか?

池田様:ラクロー導入前から36協定の遵守は意識していたので、従業員に声かけをしていました。また人事制度として40時間のみなし労働時間を超えると時間手当が発生することは認識するようにというアナウンスはしていました。


ー山崎:ラクロー導入後、社員の方の中で働く時間への変化があったとお話いただきましたが、その変化は池田さんを含めた経営層からのアクションがあって変わったのでしょうか。

池田様:導入に当たって何度か全社集会で声かけをしました。声かけでは皆さんの健康のためというところと、この取り組みは上場プロセスの中で非常に大切な部分で、一人一人の勤怠が会社の上場を実現させるという点を伝えました。

株式会社CaSy様オフィス
株式会社CaSy様オフィス
「思考のスイッチ」を自在に行い、「閃きのスイッチ」が入るオフィスで、
「社会のあたりまえをスイッチ」していく。3つのスイッチを体現しているオフィスです。

「働く時間と場所を自ら選択できることを重視するCaSyにおけるオフィスは、
来れば答えの見つかる場所でありたいと考えている」とのことでした。

厳格な勤怠管理とラクローの運用

ー高山:その他ラクロー導入後に何か変化はありましたか?

小口様:労働時間の見える化に伴って、残業や深夜労働時間の事前申請という体制が新たに追加されました。実際に社内では、上長に事前申請をして承認をしてもらう「事前申請・事前承認」が基本ルールとして導入され、徹底しています。


ー高山:素晴らしいですね!

小口様:上場に当たり36協定を遵守するために中間締めも行なっていて、事前申請を徹底しています。

中間締めの際には月の中間で、残業が所定労働時間を超えそうな人にはアラートを出して申請をお願いしています。また事後申請があった際には、アラートを出して再発防止を促す取り組みも毎月行なっています。

事前申請の確認にはラクローのデータダウンロード機能を使い、効率的に行なえています!


ー高山:そこまで活用してもらえるとありがたいです!

小口様:ラクローの良い所は、工数管理ができることですね。ラクローではプロジェクト単位ごとに管理できて、プロジェクトの中でもタスクごとに番号がつけられますよね。私は経理も担当しているので、それを活用して、ソフトウェア等の無形固定資産を総労働時間に対してプロジェクトの何番以降は資産に計上するのかなど比率で管理できるようになり、決算の時にすごく便利になったと思います。経理にとっても今までのエクセル管理に比べてすごくラクです。

ー高山:そこまで褒めてもらえると嬉しいです、改善ポイントはあるので皆さんのお声をいただいてより良く、使いやすく作れればと思います。

IPOに耐えうる独自の取り組み

ー高山:上場についてお聞きしたいのですが、上場を目指す際に証券会社さんから指摘されたことはありましたか。

池田様:勤怠管理面についてはラクロー導入と会社独自の取り組みの成果もあり、特に指摘を受けることはありませんでした。実際の取り組みとして、ラクローを利用しての実際の勤怠と客観的なログとの照合をした上の勤怠承認、また自己申告と客観記録で月に20時間以上乖離がある場合は、従業員の上長に対してもきちんと確認していたことが大きかったですね。

また、事後申請の発生の有無、深夜労働の必要性の有無を確認するなどの会社独自のチェックリストを用意して、毎週管理者に確認をしてもらった旨を伝えたことも良かったと思います。


ー山崎:素晴らしい取り組みですね!このチェックリストはいつ頃作成されたのでしょう?

池田様:上場準備の過程では、残業の事後申請はどの程度発生しているかなど、証券会社から様々な質問があります。その課題に対して改善する仕組みを考える必要があるのですが、その過程で対策やチェックリストが出来上がりました。


ー山崎:他にチェックリストではどの様な確認をされていましたか?

池田様:他にも上場準備の過程で導入した制度として、「有給取得」のアラートがあります。

毎月社員一人一人が、有給取得期間までに有給をあとどれくらいで消化できるかという割合に応じたアラートを出すこともコーポレートで毎月取り組んでいます。

ー高山:コーポレート側でアラートを出すことはかなり意識を持たれて、高いレベルの中で運用されていますね!

上場日の様子
上場日の様子 お祝いのお花がたくさん届いたそうです

リアルとオンラインの融合で社員同士がもっと繋がる会社に

ー高山:現在上場という大きな目標を達成された後ですが、今後人事や労務面で力を入れて取り組みたい部分を教えてください。

池田様:やはりリモートワーク下でのコミュニケーションです。今後もCaSyの特徴である「積極的にリモートワークを利用する」という方向性は変わりませんが、リアルとオンラインの壁を様々なテクノロジーの活用で埋めたいと考えています。リモートワーク下では、リアルだとできる「隣に居るから聞いてみる」という事が出来ないので、社員同士のコミュニケーションを繋げる仕組みづくりを考えていきたいです。

CaSyは2017年からフルリモートで仕事をしているのでリモートワークに対するハックは色々ありますが、もっと充実させて進化していきたいと考えています!


ー山崎:その課題に対して、ツールと制度のどちらで解決しようと取り組まれていますか?

池田様:現在、会社では制度でコミュニケーションを支援していますね。取り組みとしては、シャッフルランチとコミュニケーション手当てがあります。シャッフルランチは普段一緒に仕事をしない別部門の人達とリモートワークでお昼ご飯を食べながら交流を深めています。またコミュニケーション手当ては、社員間でオンライン・オフライン問わずに交流があった際には会社が一定の補助をしています。これらの取り組みも完璧に機能しているわけではないので、今後も進化させていきたいです。

またツール面ではバーチャルオフィスの、「同じ空間にいる感覚」に注目をしています。


CaSyが創りだす「時間」を大切なことに使ってもらうために

ー高山:CaSy様全体の今後の展望をお伺いしたいです。

池田様:今後は現在展開している「家事代行」を軸として、他の暮らしのサービスに広げることで、「時間を創る」価値を高めていきたいと考えています。

家事代行の特徴的なポイントとして、お客様のお宅の中にお邪魔をする、それが高頻度かつ長期的にわたるという特徴があります。その中で培われるお客様との信頼関係は数値として評価はしづらいですが、すごく大きな価値だと考えています。

お客様と近い距離にいるからこそ、困りごとや他の人に任せて良い事が家の中にたくさん発生していることに気づいて差し上げられると考えています。今後は、家事代行の力も借りながら暮らしていくことが当たり前になっていくんだろうと考えています。

その中で今まで我々が家事代行で培った信頼関係を元に広げていきたいですね。

ー高山:本日はお時間いただきありがとうございました。

上場祝賀会の様子
上場祝賀会 4月に雅叙園にて社員で祝賀会を開催した様子。
全員でCaSyポーズ(Cのポーズ)で撮影されたそうです