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【社労士監修】法定労働時間、所定労働時間の違いとは?36協定や残業上限規制についても解説

  • 労務知識
  • 36協定
2020-07-29

労働時間、法定労働時間、所定労働時間は何が違うの?

労働時間とは

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。労働時間に該当するかどうかは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるかどうかにより客観的に定まるものです。

例えば昼休みにおける電話や来客対応といった労働から離れることが保障されていない手まち時間(待機時間)や、参加することが業務上義務付けられている研修などは、労働時間に含まれます。一方、通常の休憩時間や出張時の移動時間、一般の健康診断は、労働時間に含みません。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定))

法定労働時間とは

法定労働時間は、休憩時間を除いた実労働時間を指し、1日8時間、1週間について40時間を超えてはならないと法律で定められてる時間です。

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。(労働基準法第32条)

ただし、特例措置として、以下の①から④の事業に該当し常時10人未満の労働者を使用する場合、1週間44時間、1日8時間まで労働させることができます(労働基準法施行規則 第25条の2)。人数の規模は企業全体の規模という意味ではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場ごとの規模を意味します。

①物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
②映画の映写、演劇その他興行の事業(映画製作の事業を除く)
③病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
④旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

所定労働時間とは

所定労働時間は、会社が始業時刻から終業時刻までを法定労働時間の範囲内で就業規則等で独自に設定している労働時間です。所定労働時間が法定労働時間と必ず一致しているわけではありません。

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法定労働時間を超えて労働させるには

労働時間は、原則1日8時間、1週間40時間(特例措置対象事業場44時間)を超えて労働させてはいけません。また、休日を毎週少なくとも1回、週休制をとりにくい業種は4週4日の範囲で与える必要があります。したがって、それを超えて労働させることはできません。ただし、使用者は、36協定の締結と届け出をすることで時間外労働をさせることができます。36協定を締結・届け出をせずに時間外労働をさせると、罰則の適用になります。

6ヵ月以下の懲役または30万円の以下の罰金(労働基準法第119条)

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。(労働基準法第36条第1項)

時間外労働の上限規制とは

これまで時間外労働に対する限度時間に罰則による強制力がなかったものが、2019年4月から大企業に、2020年4月から中小企業に対して罰則つきの上限規制へと改正されました。時間外労働(休日勤務を含まず)の上限は、原則として月45時間・年360時間です。臨時的特別(特別条項を定める)の場合でも以下の上限規制があります。

①時間外労働1年720時間以内
②時間外労働と休日労働の合計が1ヵ月100時間未満
③原則月45時間を超えることができるのは1年に6回以内
④時間外労働と休日労働の合計は、2ヵ月平均、3ヵ月平均、4ヵ月平均、5ヵ月平均、6ヵ月平均でそれぞれ80時間以内

こちらの改正は、従来の上限基準にはなかった休日労働を含めての複雑な規制となっているため、労働時間を適正に把握し管理しながら長時間労働の是正をしていく必要があります。

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