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【社労士監修】在宅勤務制度導入の4つの課題(就業規則、みなし労働制、労災、派遣社員)

  • 労務知識
  • 在宅勤務
2020-06-17

この記事で解消する疑問と回答

在宅勤務制度の導入にあたり、就業規則を変更する必要はありますか?
労働条件が通常のオフィス勤務と同じ場合は不要ですが、在宅勤務のみに適用するもの(在宅勤務用の労働時間、通信費や光熱費の負担など)がある場合は就業規則等の変更が必要です。
在宅勤務制度の導入にあたり、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が必須となりますか?
一定の要件を満たしていれば、事業場外労働のみなし労働時間制を適用できます。なお、在宅勤務にはすべての労働時間制を適用でき、必ずしも事業場外労働のみなし労働時間制を適用する必要はありません。
在宅勤務に労働者災害補償保険(労災保険)は適用されますか?
在宅勤務者に対しても業務が原因である災害については、業務上の災害として労働者災害補償保険の給付の対象となります。
派遣社員も在宅勤務できますか?
派遣社員においても在宅勤務は可能です。派遣会社と派遣先との契約で定めていない場所で勤務する場合は、労働者派遣契約の変更が必要です。

在宅勤務と就業規則変更

労働時間などの労働条件が通常のオフィス勤務と同じ場合は、就業規則の変更は不要です。ただし、在宅勤務用の労働時間、通信費や光熱費の負担など、在宅勤務のみに適用する事項がある場合は就業規則等の変更が必要になります。

変更する場合、就業規則そのものを変更する方法、個別の規程として在宅勤務規程を作成する方法があります。規定には例えば次のことに関して定める必要があります。

  • 在宅勤務を命じること
  • 在宅勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間
  • 通信費などの経費の負担

在宅勤務には通信機器が必要です。仮にパソコンや携帯電話を会社が貸与するとしても、無線LANなどの通信費等経費を従業員に負担させる場合は、就業規則への記載が必須となります。予め従業員へ説明してトラブルを防ぎましょう。

なお、在宅勤務に限らず、サテライトオフィス勤務(所属事業場以外の会社所有施設や、会社が契約した他社所有の共有施設での勤務)やモバイルワークといった他のテレワーク形態の場合も同様の対応が必要です。(労働基準法89条、平成20.7.28基発728001号、昭和63.3.14基発150号)

事業場外労働のみなし労働時間制の適用

在宅勤務において、事業場外労働のみなし労働時間制を適用する場合には、次の要件を満たしている必要があります。(平成20.7.28基発728001号・728002号)

  1. 当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
  2. 当該情報通信機器が使用者の指示により、常時通信可能な状態におくこととされていないこと
  3. 当該業務が随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

在宅勤務者の労働時間を算定することが可能な場合は、事業場外労働のみなし労働時間制を適用できず、通常の労働時間制度が適用されます。通常の労働時間制度とは、法定労働時間の原則に基づき、就業規則で規定されている制度(始業終業の時刻、昼食休憩など)のことです。時間外や休日労働、深夜勤務に対する割増賃金の支払いも当然に発生します。なお、それぞれの労働時間制の条件を満たせば、在宅勤務にはすべての労働時間制を適用できます。必ずしも事業場外労働のみなし労働時間制を適用する必要はありません。

在宅勤務と労災

業務が原因である災害については、在宅勤務者であっても業務上の災害として労働者災害補償保険の給付対象となります。一方で、自宅における私的行為が原因であるものは業務上の災害とはならず、給付対象となりません。自宅とサテライトオフィスの往復中の災害は、経路と移動手段が合理的であれば通勤災害の対象となります。

なお、勤務場所にかかわらず、企業には従業員の安全に配慮する義務があるため、その点についても留意してください。(平成20.7.28基発728001号、労働契約法第5条)

派遣社員の在宅勤務

派遣社員も在宅勤務は可能です。ただし、派遣会社と派遣先企業との契約で定めていない場所で勤務する場合は、労働者派遣契約の変更が必要です。派遣労働者については、派遣元の使用者が就業の場所等を含む労働条件について明示しなければならないためです。なお、派遣先における派遣労働者の事業場外労働は、派遣元の労使協定で定める時間労働したものとみなされます。(労働者派遣法26条、昭和61.6.6基発333号、労働者派遣法44条5項)