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【社労士監修】休日出勤の代わりに休むのは振休?代休?運用の注意点を解説

  • 振替休日
  • 代休
  • 労務知識
2020-06-01

休日に出勤した代わりにお休みをとる制度は多くの企業で運用されています。「振替休日(振休)」と「代休」がよく知られていますが、この2つは明確な違いがあり、運用上注意が必要です。この記事では「振替休日」「代休」の違いと給与計算への影響を解説します。

この記事で解消する疑問と回答

振替休日と代休にはどのような違いがありますか?
就業規則等に定めがあれば、休日出勤が予定されているときに、予めその休日と他の所定労働日を入れ替えることができます。「振替休日」は入れ替えた後に休日となる日を指します。一方、事前に振替休日の特定をせず、事後的に代わりの休日を与える場合は「代休」となります。
振替休日と代休は給与計算に違いがありますか?
休日出勤の代わりに振替休日を取得した場合、休日であった日は労働日として計算し、振替休日は休日として計算します。振替休日を取得しない場合の休日出勤には100%(法定休日の場合は135%)以上の支払いが必要となりますが、振替休日を取得した場合は所定労働日として給与計算をします。代休を取得した場合は、休日出勤日を所定労働日扱いできないため、休日出勤日として給与計算をします。代休日分の控除をするか否かは、就業規則等の定めによります。


【参考】「振替休日」と「代休」の違いとその注意点 (東京労働局『労働基準法のあらまし2018」より引用)

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重要ポイントと根拠法令

振替休日、代休に関しては法律の定めはないため、通達からそれぞれの運用上の注意を確認します。また、振替休日は法定休日の日付が変更されることから、法定休日に関する定めにも注意が必要です。

ポイント①:就業規則等に振替休日の定めがある場合、休日と所定労働日を入れ替えられる

根拠①: 休日の振替を行う際の留意点(昭和23年7月5日基発968号、昭和63年3月14日基発150号)

業務等の都合によりあらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とするいわゆる休日の振替を行う場合には、就業規則等においてできる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましいこと。なお、振り替えるべき日については、振り替られた日以降できる限り近接している日が望ましいこと。

ポイント②:振替休日を含む週で時間外労働が発生した場合は割増賃金の支払いが必要

根拠②:休日の振替と時間外労働(昭和22年11月27日基発401号、昭和63年3月14日基発150号)

就業規則に定める休日の振替規定により休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働とはならないが、振り替えたことにより当該週の労働時間が一週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する三六協定及び割増賃金の支払が必要であることに注意されたい。

ポイント③:事前に振替休日を特定しないで休日出勤し、事後に代償の休日を与えたとしても振替休日にはならない

根拠③:昭和23年4月19日基収1397号、昭和63年3月14日基発150号

(問)就業規則に、休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって所定の休日と所定の労働日とを振り替えることができるか。

(答)(一)就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない。

(二)前記一によることなく休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれに当たらないこと。

ポイント④:振替休日を特定する場合には、特定後も法定休日が1週に1日または4週に4日確保されるようにしなければならない

根拠④-1:労働基準法第35条第1項

使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

根拠④-2:労働基準法第35条第2項

前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

運用の具体例

就業規則等で週の始まりが日曜日、法定休日が日曜日、所定休日(法定外休日)が土曜日と定められてるとします。

(1)同一週で法定休日を振り替える場合

日曜日に出勤することになったため、火曜日に法定休日を振り替えるケースを考えます。振替を行うと日曜日が所定労働日扱い、火曜日が法定休日扱いとなります。同一週での振替なので、法定休日確保の問題は発生しません。

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(2)異なる週で所定休日(法定外休日)を振り替える場合

土曜日に出勤することになったため、翌週の火曜日に所定休日を振り替えるケースを考えます。振替を行うと土曜日が所定労働日扱い、火曜日が所定休日扱いとなります。法定休日の変更ではないため、法定休日の確保の問題はありませんが、休日出勤を行う週の所定労働日が6日になるため、時間外労働が発生しやすくなる場合があります。通常の労働時間制度では、週40時間を超える時間外労働には25%(大企業で月60時間を超える時間外労働の場合は50%)以上の割増賃金の支払いが必要となるので注意が必要です。

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ラクローでは

ラクローでは、振替休日と代休を明確に区別して運用できます。具体的な手順としては、休日出勤の申請を行う際に、振替休日を特定するかを設定します。振替休日の日付を設定した場合には、休日出勤日が所定労働日扱いに、振替休日の日が休日扱いになります。残業時間の計算は自動で変更されます。

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