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【社労士執筆】「休日」「休暇」「休業」「休職」の法的・制度的な違いとは?休みに関する人事労務の基礎知識

  • 労務知識
2026-01-13


一言で「休み」といっても、給料が出るもの、出ないもの、申請が必要なものなど、違いが多すぎて混乱してしまうことはないでしょうか。

特に労務管理においては、これらの違いを曖昧にしていると、賃金計算の誤りや法的なトラブルにつながるリスクがあります。

本記事では労働基準法などの法令に基づき、混同しやすい4つの「休み」の定義と、それぞれの法的・制度的な違いを解説していきます。

4つの「休み」の比較一覧表

まず、混同しやすい「休日」「休暇」「休業」「休職」の違いを一覧表で整理しました。最も大きな違いは「労働義務の有無」と「賃金の扱い」です。

項目 休日 休暇 休業 休職
定義 労働契約上、もともと労働義務がない日 本来は労働日だが、労働義務が免除される日 労働契約は存続するが、一定期間の労働義務が免除される期間 労働契約は存続するが、私的な理由などで長期にわたり労務提供ができない期間
法的根拠 労働基準法 労働基準法など 労働基準法、育児・介護休業法など 法律上の定めはない
(就業規則に定める)
労働義務 なし 免除 免除 免除
賃金支払い義務
(企業)
なし 原則なし(例外あり) 原則なし(例外あり) なし
(但し、就業規則による)
具体例 法定休日(週1日)
法定外休日(会社の定めた土日祝など)
生理休暇
年次有給休暇
特別休暇(慶弔休暇など)
産前産後休業
育児休業
介護休業など
私傷病休職
自己都合休職など

4つの「休み」の個別解説と給与・法的な違い

それぞれの「休み」について、詳細な定義や給与の扱いについて解説します。

1. 休日とは?

  • 概要 労働契約において、労働義務が生じない日を指します。
  • 法的根拠 労働基準法第35条で、使用者は労働者に対し毎週少なくとも1回の休日(法定休日)を与えなければならないと定められています。

休日の種類

  • 法定休日: 労働基準法で義務付けられた週1日または4週間に4日以上の休日です。
  • 法定外休日(所定休日): 法定休日を超えて、会社が任意で定めた休日(例:法定休日以外の土日、祝日など)です。

賃金について

もともと労働義務がない日であるため、原則として賃金支払い義務はありません。
ただし、法定休日に労働させた場合は、35%以上の割増賃金の支払いが必要です。週40時間を超える法定外休日の労働には、時間外労働の割増(原則25%以上)が適用されます。


2. 休暇とは?

  • 概要 本来は働く日であるにもかかわらず、労働者の申請により労働義務が免除される日を指します。
  • 法的根拠 労働基準法などで定められたもの(法定休暇)と、会社が任意で就業規則に定めるもの(特別休暇)があります。

休暇の種類

  • 法定休暇: 年次有給休暇、子の看護等休暇、生理休暇など、法律で付与が義務付けられているものです。
  • 特別休暇: 慶弔休暇、リフレッシュ休暇、病気休暇など、会社が任意で定めるものです。

賃金について

  • 年次有給休暇: 労働基準法により、賃金が支払われることが義務付けられています。
  • 年次有給休暇以外の法定休暇: 原則無給ですが、会社の就業規則で「有給」と定めることもできます。
  • 特別休暇: 賃金の支払いは企業の裁量に委ねられます。就業規則で「有給」とするか「無給」とするかを明確に定める必要があります。

3. 休業とは?

  • 概要 労働契約は維持されるものの、特定の理由により、中長期にわたり労働義務が免除される期間を指します。
  • 法的根拠 育児・介護休業法や労働基準法など、個別の法律に基づきます。

休業の種類

  • 法定休業: 産前産後休業、育児休業、介護休業など、法律で定められたものです。
  • 会社都合の休業: 経営上の理由などによる「休業手当」の支払いが必要となる休業です。

賃金と社会保険について

原則として企業には賃金支払い義務はありません。育児休業や介護休業、産前産後休業中は、雇用保険や健康保険から公的給付(育児休業給付金など)が支給されることが一般的です。
ただし、会社都合の休業の場合は、労働基準法に基づき、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが義務付けられています。

所定労働日としての扱い

休業期間中も会社が定めた出勤すべき日、すなわち所定労働日数(分母)には原則として含まれます。
産前産後休業、育児休業、介護休業、業務上の傷病による休業(労災)の期間は、労働基準法により「出勤したものとみなす」と定められています。
そのため、これらの法定の休業期間は有給休暇付与における出勤率計算(※)をする際、分母(所定労働日数)にも分子(出勤日数)にも含めて計算され、労働者に不利に働くことはありません。会社都合の休業の場合は分母・分子いずれからも除外します。

※有給休暇の取得には定められた期間の中で出勤率8割以上という条件を満たす必要があります。


4. 休職とは?

  • 概要 労働契約は維持されるが、労働者側の私的な事情などにより、長期間にわたり労務提供ができないため、企業が職務から離脱させる制度です。
  • 法的根拠 法律上の定めはありません。会社の就業規則で制度設計を行います。

休職の種類

  • 私傷病休職: 業務外の病気や怪我による休職です。
  • 自己都合休職: 留学、ボランティア活動などによる休職です。

賃金について

支払い義務はなく、多くの企業では無給としています。私傷病休職の場合、要件を満たせば健康保険から傷病手当金が支給されます。

所定労働日としての扱い

休職期間中も、所定労働日数(分母)には原則として含まれます。
私傷病休職など、法定休業以外の休職期間は、原則として「欠勤」と同様の扱いとなり、出勤日数(分子)からは除外されます。
この結果、休職期間が長いと年次有給休暇付与のための出勤率(8割)を下回り、次年度の有給休暇が付与されないという影響が生じます。
ただし、会社によっては、就業規則で「全労働日(分母)から除外する」など、労働者に有利な措置を定めることも可能です。

【番外編】休憩と休息の違い

似た言葉である「休憩」と「休息」の違いについても触れておきます。

1. 休憩とは?

  • 概要 労働時間の途中に与えられる、労働者が労働から完全に解放され、自由に利用できる時間です。
  • 法的根拠 労働基準法第34条で明確に定められており、企業に付与義務があります。
  • 付与義務 労働時間が6時間超8時間以下で45分以上、8時間超で1時間以上の付与が義務付けられています。

2. 休息とは?

  • 概要 休憩とは異なり、法令上の定めがない、より柔軟な休み方です。仕事の合間に取る短時間の一時的な休み(例:集中力回復のための10分程度の小休止)を意味し、個々の労働者が自主的に取る時間という違いがあります。

なお、2019年の働き方改革によって努力義務となった勤務間インターバル制度ですが、これは前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定時間以上の「休息時間」を設ける制度です。
勤務間インターバルにおける休息は、単なる「小休止」ではなく、労働者の睡眠時間や生活時間を確保するための休息としての意味合いが強まっています。過労死防止や健康確保の観点から、この考え方に関心が高まっています。


まとめと労務管理上の注意点

「休日」「休暇」「休業」「休職」は、それぞれ法的根拠、労働義務の有無、そして最も重要な賃金(給与)の扱いが大きく異なります。これらの違いは、年次有給休暇の付与など、他の制度にも連動するため、正確な理解と運用が不可欠です。

1. 就業規則で「独自のルール」を決める重要性

特に「休職」や「特別休暇」は法律上の規定がないため、就業規則にその定義、期間、賃金の扱い(有給・無給)、復職の基準などを詳細に定めておくことが、労使間のトラブル回避に不可欠です。

2. 複雑な「有給休暇付与における出勤率算定」の計算ルール

出勤率を算定するにあたり休暇・休業の扱いは複雑です。たとえば、育児休業など「法律で定められた休業」は出勤したものとして扱いますが、私傷病休職期間の扱いについては会社ごとの就業規則の定め方次第です。この設定一つで翌年の有給休暇が発生するかどうかが変わってしまうため、明確に規定する必要があります。

3. 手作業の限界とシステム活用のメリット

法定休日と法定外休日の区別、有給休暇の残日数管理と出勤率計算、これらの管理を紙やExcelで正確に行うのは困難であり、人為的なミスが発生しやすい業務です。
これらの複雑な労務管理を正確に行い、法令遵守(コンプライアンス)を徹底するためには、勤怠管理システムや給与計算システムを活用することが極めて有効です。システムによる自動計算と記録は、労務管理上のリスクを大幅に軽減し、企業と労働者双方を守ることに繋がります。

打刻レス勤怠管理ツール「ラクロー」のご紹介

今回解説したように、「休日」「休暇」「休業」「休職」の違いを正しく理解し、日々の勤怠管理や給与計算に反映させることは、労務リスクを回避するために非常に重要です。
しかし、複雑な休暇制度の管理や、労働基準法に則った正確な労働時間の集計を、手作業や自己申告だけで行うには限界があります。

打刻レス勤怠管理ツール「ラクロー」は、PCログなどの客観的な記録をもとに労働時間を自動で算出。
打刻漏れや入力ミスの心配がなくなり、「誰がいつ休んだか」「残業時間は適正か」をひと目で把握できます。
複雑な労務管理の効率化とコンプライアンス強化を同時に実現したい企業の皆様は、ぜひ一度ご検討ください。

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早川 育美

早川 育美

寺島戦略社会保険労務士事務所 社会保険労務士

2014年に社会保険労務士試験に合格。都内社会保険労務士法人にて約8年間勤務。
中小企業から2,000人を超える企業の労務相談および労働保険、社会保険法令に基づく手続きや給与計算、就業規則等の各種規程作成、企業研修、執筆に加え、社内外で労働法に関するセミナーを多数経験。
2023年1月より寺島戦略社会保険労務士事務所に入所。

その他保有資格: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 等
HP: https://www.terashima-sr.com/


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