客観的記録を取ることによって仕事の境界線が曖昧になる場合に、どうしたらいいですか?
PCログを取得することによって、勤怠打刻とのずれが明らかになり、ずれの調査を行う過程で従業員から「実は自主的に社内資料を読んで勉強していました」といったことや「深夜に、あの件どうなったかと思って10分だけSlackを開いてました」といったことが判明することは多くあります。
こうした場合に、労務担当者としては「それって労働時間?労働時間にしなくていいの?」という疑問が湧いてくると思います。
この労働時間か否か問題について解決するためには、そもそも労働時間とは?という点を理解しておく必要があります。
労働時間とは労基法関連通達や判例から、以下の通り整理することができます。
・使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当
つまりは、労働時間に該当するか?の判断を行うにあたって、「使用者の指揮命令下に置かれている」「使用者の明示または黙示の指示はあったか」が重要なポイントとなります。
指揮命令下とは?
各種判例等で指揮命令下にあったとされるものとしては下記のようなものがあります。
・安全衛生上指定された作業服に着替えなければならない場合の着替えの時間
また、逆に指揮命令下になかったとされるものでは下記のようなものがあります。
・特段即時対応が求められない手待ち・待機時間
・出席が強制されていないゴルフコンペ
これらを整理すると、指揮命令下にあったと判断されないためには、下記のような点に留意する必要があります。
②参加しない者について評価を下げる等の不利益な対応をしていないか
③任意としている研修について後日レポート等を課していないか
④実質的に参加しないと実際の業務が難しい研修ではないか
黙示の命令とは?
各種判例等で黙示の指示があったとされるものとしては下記のようなものがあります。
・どう考えても残業をしないと終わらない量のタスクについて業務命令があった場合
・時間外にミーティング設定がある場合
また、逆に黙示の指示がなかったとされるものとしては下記のようなものがあります。
・残業する場合には事前申請をすることが徹底されていた場合
・客観的にみて残業が必要な業務タスク量を抱えていない場合
・研修中の従業員が業務の下調べや自発的に朝早く来ている場合
これらを整理すると、黙示の指示があったと判断されないためには、下記のような点に留意する必要があります。
②業務過多ではないか
③(サービス残業をしていることを把握してる場合)抑制するような指導をしているか
これらを鑑みて、個別に判断することになります。
上記に照らせば概ねの判断はできるかと考えますが、労働時間か否かについての判断は簡単にはできないケースも多いと思います。
勤怠の客観的把握の本質は、こうした「労働時間か否か判断に迷う事象を洗い出す」ということにもあるかと考えます。
迷う場合にはその都度顧問の社会保険労務士などの専門家に意見を聞き判断を仰ぐ、という仕組みを構築すること自体に意味があります。
勤怠管理ツール「ラクロー」のご紹介
弊社の打刻レス勤怠管理ツール「ラクロー」は客観的記録をベースに把握した労働時間を、従業員や管理者が確認し労働実態にあっているかを判定しながら勤怠管理を進めることができます。
客観的記録をベースに勤怠管理をすることで、打刻をしていた際に必要だった客観的記録との乖離チェックが不要になります。結果、より効率的に適正な勤怠管理を実現することが可能になっています
まずはぜひお気軽にご相談ください。
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